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エンジン位置、ボルボは何を考えているのか?

ボルボを良く知っている方は、この写真だけでXC90のコンセプトを判って頂けると思います。
ボルボがXC90を開発する際に、何を捨てて、何を得ようとしたのか・・・

かつて、これほどエンジンを前進させているボルボがありますか?
比較的穏やかな性格のXC70ですら、エンジン位置はこれより後方に位置します。
 

FRボルボは、一時代の車の黄金率となる

FR時代には、長いボンネットに縦置きレイアウトがボルボの基本でした。長い全長で居住空間を確保するそのスタイルは、一見すると無駄に大きい車に見えました。
しかし・・・乗ってみるとその印象は大きく変わります。
小回りが利き素直なハンドリング。広々とした荷室と良好な視界。メンテナンスしやすく壊れにくい構造。そして安全・・・
全長は5m近いのですが、とても小さく感じます。国産の2Lクラスのミニバンよりも遙かに街中で扱いやすい車でした。

この優れた思考は、日産のステージアに丸ごと真似されます。チープV70(特に、二台目は)は、外装以上に中身を真似ていた車なのでした。
乗ったことは無いのですが、良い車であることは想像できます。

 

FFボルボは、過渡期をへて成熟に

850以降、ボルボはFF路線に入ることになります。
私の850のイメージは・・・
小回りが利かない
荷物が積めない
メンテがしにくい
ハンドリングが落ち着かない
5気筒エンジンが生理的に合わない
850は、特にエステートは頂けません。

これも、S60の頃になると印象は大分変わります。
幅広のトレッドと適切な重心位置・・・これならFFにする理由も納得出来ます。
運転手には面白い車に仕上がると思います。私も営業者として、一瞬だけ採用を考えました。最終的にはタワーパーキングに入らない事が最大の問題で購入にはいたりませんでした。

何を捨てて、何を得たのか

XC90に戻ります。
今までのFFボルボは、ハンドリング、それ以上に安全を考えて、エンジンの前進はしなかったのです。
では、なぜXC90ではそれが出来たのか?
それは、ボディ形状をSUVとしたからに他なりません。
SUVなら、ボンネットの長さを縮めても厚みで安全性を確保出来るからです。街中では余ってしまうトレッドの広さも横転防止に有効に働いています。
他のSUVも同様にしてサードシートを確保出来そうなのですが・・・V8エンジンでは全長があるためにボルボのような手法が取れません。
そうです。ボルボには直5、直6の横置きレイアウトという技があったのです。
そうして、新たにスペースが確保出来た場所にサードシートを取り付けます。このシートは完全にリヤアクスル上となります。XC90はAWDであることから、立派なリヤ駆動系が存在します。これらが、さらにサードシートを安全な空間とさせています。
他の高級SUVがサードシートをつけれないのはこの様な理由がありました。
将来を含めてサードシートを持つ、唯一の高級SUV。それがXC90なのです。
ボルボは、ハンドリングを犠牲にして、安全なサードシートを得ました。
いつの時代もボルボは「確信犯的な車を造ります」
安全の観点から、ミニバン等をつくることが無いでしょう。XC90でもサードシートは3人掛にすることはスペース的に可能でした。そこを敢えて2人掛にするようなメーカーです。
安全性と前向き7人乗りとのバランスが絶妙に取れたのがXC90です。


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